入学準備は進んでいますか?
多くの学校の準備品リストに載っている「上履き」。
上履きというと、バレーシューズと呼ばれている、足の甲に幅2センチ位のゴムがついた、脱ぎ履きしやすいスリッポンタイプの靴が思い浮かびます。
手頃な価格で入手もしやすいバレーシューズですが、子どもの足の健やかな成長を守る視点からは、惜しい点があるんです。
足の指が圧迫されやすい
子どもの足は大人とは違い、かかとから指先の方に向けて広がった、扇形をしています。
ところが、バレーシューズは靴のかかとからつま先までがまっすぐで、ほぼ同じ幅。
そうすると、足首周りはゆるくて脱げやすい一方、足の指は圧迫されやすい状態です。
最近、足の指の変形のトラブルが子どもに増えていますが、その原因のひとつが“足に合わない靴”です。
足の小指が親指側に向けて曲がる内反小趾(しょうし)。
足の親指が小指側に向けて曲がる外反母趾(ぼし)。
立った時に足の指がつかない浮き指。
私が子どもの靴の大切さに気付いたのも、小学校に上がった長男の足の小指が床についていないと知り、上履きを変えたことでした。
かかとの骨を守る力が不足している
子どもの足は未発達です。
足の中には軟らかい骨が点在し、かかとの骨は数が揃っていません。
だから、鉄筋コンクリートの建物やアスファルトの道路などの場所では、靴底に弾力があり、かかとに芯が入った靴で、骨を守り支えたいものです。
ところが、バレーシューズは、靴底もかかとも軟らかく、立ったまま両脚をもぞもぞと動かして靴が脱げるほどで、かかとの骨を守り支える力が不足しています。
不自然な体の使い方になりやすい
子どもは「歩く」「走る」「跳ぶ」「蹴る」「投げる」などの基本的な動きを、年月をかけて身に付けていきます。
「歩く」という動きひとつをとっても、1歳前半の歩きはじめから6歳頃までかかって、大人と同じ歩き方を確立すると言われます。
ところが、脱ぎ履きしやすい靴を履いていると、動くたびに靴が脱げそうになるので、無意識のうちに不自然な体の使い方になりがちです。
運動能力が確立する時期に、脱ぎ履きしやすい靴を履いていて、不自然な体の使い方が身についてしまったら……惜しいと思いませんか。
お勧めの上履きは、脱ぎ履きしにくいもの
では、子どもの足の健やかな成長を守るには、どんな上履きを選ぶのが良いのでしょうか。
一言でまとめると「足と一体になる、脱ぎ履きしにくい靴」をお勧めします。
具体的には、次のポイントを満たす靴を選んでほしいです。
(1)足の甲の高さや足首の太さに合わせて靴をフィットさせられるように、ベルトがある
(2)かかとの骨を守れるように、靴のかかとの中に芯が入っていて、靴底に適度な弾力がある
(3)足の指が圧迫されないように、靴のつま先に広さと厚みがある
こういう靴は、脱ぎ履きに手間がかかりますが、きちんと履くと足の成長を守ることができます。
(靴の履き方についてはこちらの記事をご確認ください。)
また、足と一体になり思い通りに体を動かせる上履きは、運動能力を高めるだけでなく、災害時に全速力で走って逃げることもできます。
脱ぎ履きしにくい上履きは成長を守るとともに、いざという時に命を守ることにもつながると、私は思います。
インターネットで「ベルトでとめる上履き」と検索すると、このポイントを満たすような上履きがありますので、早めに探しておくと良いですよ。
お子さんの足や姿勢のお悩みに、全国のフットマスターがご相談に応じます。
>>全国のフットマスター
【執筆者】
みやざき足育センター 代表 成田あす香
http://ashiiku-miya.com/
子どもの足の健康を守るための講演活動を各地で行っています。