お読みいただき、ありがとうございます。
フットマスターの成田あす香です。
お子さんのいる方は、運動会の季節ですね。
「今年はもっと速く走りたい」とがんばっているお子さんを応援したいあなたに、
かけっこ・徒競走が速くなる靴のお話をお届けします。
◇ 走るときの動きを知れば、速く走れる靴が分かる
速く走ることのできる靴を選ぶためには、
まずは「走るときの足の動き」を知るといいですね。
「かがくのとも絵本 あしのうらのはなし」(福音館書店)に、
走るときの足の動きがコマ送りの絵で描かれています。
①右足のかかとがつく
↓
②足の裏全体がつく
↓
③かかとが離れる
↓
④指だけ残っている
↓
⑤全部が離れる
↓
⑥左足のかかとがつく
これらの足の裏の動きがきちんとできる靴を選ぶと、
もっている力を100%発揮して走ることができます。
逆に、これらの足の裏の動きができなくなってしまう靴では、
速く走ることができません。
絵本を見て動きをイメージしてから、
お子さんを連れて行って一緒に靴を選ぶといいですね。
◇ かかと・ベルト・靴底は必須のチェックポイント
①の「かかとがつく」ときのぐらつきを抑えるのが、
ヒールカウンターと呼ばれる芯材。
靴でかかとの骨をまっすぐ支えることができ、
足がまっすぐ前に出しやすく、重心がスムーズに移動します。
③の「かかとが離れる」ときに欠かせないのが、ベルトや靴紐。
走っている途中で靴が脱げる子を見かけますが、
ベルトや靴紐で足にぴったり合わせて履かないと、
かかとが離れる時に靴が脱げます。
もちろん、サイズが合っているのは言うまでもありません。
そして④の「指だけが残っている」ができるためには、
靴が指の付け根の部分で曲げられること。
靴底や甲の素材が固すぎると、
足の指で地面を踏み返すことができず、速く走れません。
◇ ある保育園のマラソン大会で…
かけっこではないのですが、ある保育園でマラソン大会を見学させていただき、
靴の影響で走るのが遅くなった場面を見たことがあります。
私がいた場所は、丁字路の角です。
下り坂を走ってきて、角を曲がると、急な上り坂、という地形でした。
年長児の子どもが2人、丁字路に向かって同じくらいのスピードで、坂を走り下りてきました。
そして、角を曲がって上り坂になったとき、
1人は坂を下ってきた勢いに乗って上り坂を走っていったのですが、
もう1人は、上り坂で急にスピードが落ちてしまいました。
「なぜだろう?」と、2人の子どもを見て気づきました。靴底です。
スピードが落ちてしまった子どもの靴は、
靴底が固いために、足の指を曲げて地面を踏み返すことができず、
靴を真上に持ち上げるようにして坂を上らなければならなかったのです。
その後も、丁字路で同じようにスピードが落ちてしまう子を数名見かけました。
子どもでも、靴ひとつで走るスピードが変わってしまうことが、
目に見えて分かる出来事でした。
◇ かけっこのためにある靴と、日常で足を守る靴は違う
ところで、運動向けの靴には、特定の動きのための機能をもたせた靴もあります。
例えば、昨今人気の「左回りのトラック競技で転ばずに最後まで力いっぱい走れる」というコンセプトの靴は、
一般的な靴とは違う、靴の左側(右足内側と左足外側)にスパイクが入った左右非対称のデザイン。
まさに運動会のかけっこのためにある靴です。
しかし、日常生活で左回りに走る場面は限られていて、
子どもたちは歩く、走る、よじ登る、飛び跳ねる、しゃがむ、といった
多様な動きを左右どちらにもしています。
日常で足を守る靴、特定の運動をするときに力を発揮させる靴。
場面に応じて靴は作られているので、
大人と同じように、子どもにも履き分けを心がけてください。
みやざき足育センター(宮崎県)
代表 成田あす香
http://ashiiku-miya.com/
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