こんにちは!
埼玉県越谷市のインソールを作れる整体院・流カイロプラクティック院の流岳史(ながれたけし)です。
あなたは「美しいウォーキングフォーム」と聞いて、何を意識しますか?
足をスラっと長く見えるように、後ろへ鼠径部を伸ばす動きでしょうか?
それとも肘や肩甲骨を後ろに引いて、胸を開く動きを腕振りで作ることでしょうか?
「ウォーキングフォーム」というと、どうしても手足の動きに注目しがちですね。しかし、実は手足の動きをキレイに見せるには、体幹がしっかりと軸を作れなければいけません。体幹の位置が決まることで、手足が力むことなく負担のないキレイな自然の動きができるのです。
私たちフットマスターがお伝えしている新保式ボールウォーキングでは、特に「胸骨」の位置を意識しています。胸骨とは肋骨(あばら骨)が集まる胸の中心の縦の骨です。
実はこの骨の位置を意識することが、何歳になってもキレイな姿勢で歩き続けるために大事なことなのです。
今回は美しいウォーキングフォームに欠かすことのできない、胸骨の使い方について解説していきます。
正しい立ち方の確認
それではまず、歩き方の説明をする前に、正しい立ち方について確認して、胸骨の正しい位置を身体にインプットしていきましょう。静止状態で正しい姿勢が取れないと、歩きながら姿勢を修正することができないからです。
今、確認できる人は、壁に踵を付けて立ってみて下さい。そこからお尻・肩甲骨・後頭部も壁に付けていきます。これだけでキツイ人もいますよね?無理のない範囲でキープして下さい。
そうすると腰と壁の間に隙間ができるのがお分かりになるでしょうか?
ここから、更におへそを引くように腹筋に力を入れて骨盤を立てて、この隙間を埋めていきます。すると、おへそをへこませた動きに連動して、自然と胸が開いて肩から腕の力が抜けるのを感じられると思います。この姿勢が「正しい立ち方」です。
最初は慣れないかもしれませんが、毎日30秒でもいいので練習していけば、違和感なくこの姿勢をキープできるようになります。違和感の原因は、長年、自分の使いやすい筋肉を優先的に使ってきたことで、姿勢を支える筋肉のバランスが崩れて、身体が悪い姿勢を「正しい」と誤って覚えてしまっているからです。
脳に再び正しい立ち方をインプットするために、1日30秒、この壁立ちで正しい立ち方を確認しましょう。次第に筋肉のバランスが整い、無意識でも違和感なく自然とこの姿勢をキープできるようになります。
「こんなに違和感あるのに本当に正しいの?」と思う人もいるかもしれません。試しに壁立ち姿勢をキープして、肩こり・首こりが気になりやすい人は首の後ろの背骨回りの筋肉を、腰痛が気になりやすい人は腰の背骨回りの筋肉をマッサージするように触ってみて下さい。筋肉の力が抜けて柔らかく感じると思います。
続いて力を抜いていつもの立ち方をして、もう一度それぞれの背骨回りの筋肉を触ってみて下さい。固くなったのがお分かりになるでしょうか?
壁立ち姿勢は、骨が効率良く体重を支える姿勢なので、その分、筋肉が力む必要がなくなります。しかし、この姿勢が崩れると、骨が支えなくなった体重を、筋肉が支えなければならなくなるので、力が入って固くなるのです。1日中この姿勢を保つか、気付いた時だけでも壁立ち姿勢に戻すかでだけでも、筋肉の疲労やコリ具合いが変わり、首や肩のこり、腰痛などの改善につながります。お悩みの方はぜひ実践してみて下さい。
さて胸骨の話に戻すと、壁立ち姿勢をして自然に胸が開いた状態で胸骨を意識すると、胸骨が伸びて立っているのを感じられるでしょうか?猫背になって背中が丸くなったり、肩が内巻きになっていたりすると、胸骨は常に圧迫されています。これが正しい姿勢になると、自然体の位置に戻るので胸がスッキリしたように感じられる人もいるかもしれません。
試しにこの姿勢で深呼吸をしてみましょう。空気をたくさん吸うことができて、呼吸が深くなるのを感じられると思います。続いて、力を抜いていつもの姿勢で深呼吸をしてみましょう。呼吸が浅くなって、空気を吸いきれないのがお分かりになるでしょうか?
つまり姿勢の意識ひとつで呼吸の深浅も変わり、全身の細胞への酸素の供給量が変わってしまうのです。この胸骨が立った感覚を維持し続ければ、疲れにくく、病気になりにくい身体を手に入れることができるということです。
「胸骨を立てる感覚」をしっかりと身に付けて、歩き方に応用していきましょう。
壁を使って正しい姿勢を確認
壁に後頭部・肩甲骨・お尻・踵をつけてから、腰と壁の間に空いた隙間を埋める。この姿勢が理想的な立ち姿勢。
胸骨を使ったキレイな歩き方
それでは、壁立ち姿勢で胸骨の位置が決まったところで、実際に壁から離れて歩いてみましょう。
まずは壁のない所で壁立ち姿勢を再現して下さい。これが基本姿勢になります。壁がないとおへそを引いて腰を伸ばす感覚が分かりにくくなりやすいので、注意して下さい。この腰から背骨がまっすぐに立っている感覚のまま、胸骨を前へ倒すと重心が前に移動して上体が前傾になります。そうすると勝手に足が出てきます。この重心の移動に従って、一歩一歩足を前に出していきます。
自動車にアクセルとブレーキがあるように、正しい姿勢から歩き出すには、胸骨を前傾にすることがアクセルになり、元に戻す動きがブレーキになります。それなので無理に足の力を使って地面を蹴る必要がなくなります。そのため、胸骨をうまく使えば筋肉の負担を最小限に抑えて、省エネで歩くことができるのです。
また壁立ちの時に確認したように、首から肩にかけての筋肉は柔らかく緩んだ状態のまま歩いているので、腕も力まずに自然とバランスを取るためだけに振ることができます。大きく腕を振ろうとすると余計な力みが入りますが、胸骨を意識すると上半身も省エネで動かすことができるのです。
更に歩を進める時に胸骨の上下動を抑えると、ボールが転がるように滑らかに前方への重心移動することができます。こうすることで膝や股関節へかかる負担が少なくなり、関節痛のリスクも軽減します。
このように歩く時に、壁立ち姿勢で確認した「胸骨を立てる」意識をするとキレイな姿勢をキープしながら歩くことができ、また重心をうまくコントロールして、身体のさまざまな負担を軽くすることができるのです。
忘れがちなのが、おへそを引っ込めて胸骨の位置をコントロールする意識です。これができていないと、猫背になって頭で重心を引っ張ることになります。一般的にこのような歩き方をしている人が多いのですが、この歩き方だと背骨より前に重い頭を突き出す姿勢になるので、首や腰の負担が大きくなります。反対に胸骨を立てる意識をすると、背骨の真上に頭を乗せることができるので、骨で頭を支え、筋肉が必要以上に頑張る必要がなくなるのです。
胸骨を少し前傾させて重心を前へ進める
重心移動に伴い自然と足が前に出ます
胸骨の前傾が前へ進むアクセルになります
ハイヒールの時こそ胸骨を意識
足の専門家としては、ハイヒールを履くことは積極的にはおすすめしておりません。ただ女性の場合は、冠婚葬祭などTPOによってはハイヒールの方が見栄えが良いという時もあるので、オーダーメイド矯正インソールの使用と共に胸骨を使った歩き方を推奨しています。
ハイヒールで出かける時も、まずは壁立ち姿勢を確認することが大切です。ヒールの傾斜がある分、不自然な身体の使い方になるので、壁立ち姿勢の維持が難しくなるからです。ハイヒールで壁立ち姿勢を確認する時は、特に踵のバランスポイントに重心を乗せることも意識しましょう。
ハイヒールを履いている人の多くが、ヒールの傾斜に押されて重心が理想の位置よりも前に移動してしまうので、膝を曲げてバランスを取ったり、猫背になったりして姿勢が悪くなりがちです。胸骨を立てた壁立ち姿勢を意識すると、この重心の狂いを防ぐことができます。
そして歩き出す時も、まずは胸骨を前傾させて重心を前に移動してから、足がついてくるようにして下さい。意外と盲点なのが、ハイヒールだと不安定になるため、体重を後ろ足に残したまま前足だけ先に前に出して、前足が地面に定まってから体重を後からついてくる歩き方になることです。このような歩き方になると、膝が曲がって猫背になりやすくなり、とてもキレイな歩き方にはなりません。
ヒールの高い靴の時ほど、胸骨を立てる意識をして、体重移動を先行させて足を動かすようにしましょう。
これは高齢者においても同じことが言えます。高齢になると筋力の不安からか、やはり後ろ足に体重を残したまま、前足を出す歩き方になりがちです。体重が後ろに残っていると前に進めないので、頭を前に出して推進力を得るのです。例えば、杖をついた高齢者の歩き方を想像すると、そのようになっていますよね?
70代・80代のクライアントさんに胸骨を使って重心先行をさせる歩き方を教えると、最初は不安がられますが、慣れてくると「速く歩けるようになった」「昔の歩き方を思い出した」と喜ばれます。意外なことに高齢の人には、「歩くのが遅くなった」「歩き方が分からなくなった」という悩みを持つ人が多いのです。
人間の身体は構造上、背骨の前に肋骨があり、内臓もあるので、重みに引っ張られて猫背になってしまいます。それなので年を取るほど、姿勢が悪くなりがちですが、普段から胸骨を立てる意識をしていると、背すじが伸びたキレイな姿勢をキープでき、身体の負担を軽減させながら歩くことが可能になります。
ぜひ若々しい姿勢で歩き続けるためにも、普段から「胸骨を立てる意識」で歩いてみて下さい。
体重を後ろ足に残して足が先行する歩き方
高齢者やハイヒールを履いた女性は、体重を後ろ足に残して足を先行して出す傾向にあります。体重を後ろ足に残すと頭が前に出やすくなったり、膝が曲がりやすくなったりすることで、首・肩・腰・膝などの負担が増します。
まとめ~胸骨の位置を意識して関節の負担なくキレイに歩こう
ここまで見てきたように、キレイな歩き方の実践には、胸骨の位置に注目することが大切です。胸骨を立てると背すじものびるので、首・肩・腰にかかる負担を減らすことができます。
また胸骨を前傾させることで重心を先行させて足を前に進めると、無駄に力む必要がないので、関節への負担も軽減されます。
「ウォーキングフォーム」というと、つい腕振りや腿上げなど手足の動きに注意が向きがちですが、実はまず胸骨を使って体幹の位置を決めることが、無理のないリラックスした手足の動き作りにつながるのです。
身体の動き作りは日々の意識が大切です。毎日300歩でいいので、正しく歩く時間を作って、いつまでも若々しくキレイなウォーキングフォームを維持し続けましょう。
私たちフットマスターは足からの健康を考え、オーダーメイド矯正インソール製作・新保式ボールウォーキングの指導・正しい靴選の指導を行っています。
ウォーキングフォームは文字ではお伝えしきれない部分があり、実際にリアルで体験していただくことが一番早いです。ウォーキングフォームについてのご相談は、全国のフットマスターにご相談下さい。
<過去の記事>
歩く時「親指」で地面を蹴って歩いていませんか?実はその歩き方、外反母趾や巻き爪の原因になりかねません。正しい足の使い方、歩き方は、フットマスターにお任せください。
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今回は後脛骨筋について解説していきます。
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