「最近、運動不足だなぁ」と思って、とりあえず手始めにウォーキングをしてみたことはありませんか?誰でも手軽に始められる運動法として、ウォーキングは広く受け入れられています。
しかし、誤解や分からないことも多いようです。例えば、ちょっと前までは「1日1万歩」と当たり前のように言われてきましたが、最近では「8,000歩がいい」と言われたり、「6,000歩がいい」と言われたり、さまざまな解説が出てくるようになりました。
一体、健康のためにウォーキングをするには、何歩が正解なのでしょうか?
今回は、ウォーキングを始めるときに「1日〇〇歩」と目標にしがちな、歩数について解説していきます。
「1日1万歩」の根拠
少し前まで「1日1万歩」が理想と言われてきましたが、これは厚生労働省の「健康日本21」での研究結果が根拠になっています。
この研究では、身体活動量と死亡率の関係が調べられました。その結果、1週間に約2,000kcal(1日約300kcal)以上のエネルギー消費に相当する身体活動が推奨されることが分かりました。
これを歩行で換算すると、普通のペースで約1,000歩(約10分)歩いた場合、消費カロリーは約30kcalとされます。それなので、1日300kcal消費するのに必要な歩数は約1万歩(約1時間40分)という計算になります。
これが「1日1万歩」が理想とされる根拠になりました。
1万歩では歩きすぎ!?
これに対して、ここのところ「1日1万歩では歩きすぎ」と言われるようになってきました。
毎日1万歩を歩いていると、徐々にひざや腰などの関節に負担が溜まって、かえってひざ痛や腰痛の原因になってしまうという事例が増えてきたからです。そのため、健康のためのウォーキングの歩数についての考え方が変わってくるようになりました。
所説ありますが、代表的なもののひとつが年齢に合わせて目標歩数を設定する考え方です。人それぞれ筋力も違えば体力も違うので、それを踏まえた研究の結果、最近では65歳~74歳は7,000歩以上、75歳以上は5,000歩以上など、年代別の歩数が提示されるようになってきました。
また別の考え方として、運動負荷を上げる工夫を取り入れて身体活動量を維持することで、歩数を少なくすることも広がってきています。例えば目標8,000歩として、3分間早歩きをした後に3分間ゆっくり歩くことを繰り返す「インターバル歩行」を取り入れたり、最低15分~20分の早歩きを取り入れたりすることを推奨する歩き方です。
この考えにのっとれば、1日1万歩の「運動量」をクリアすればいいと理解できるので、1日6,000歩だったら残りの4,000歩分の運動量は自転車や水泳などで補ってもいいと思います。
このようにして考え方はそれぞれありますが、「1日1万歩の運動量」を年代別に換算し直したり、運動効率を上げて歩数を減らすことが、最近では推奨されるようになってきました。
1日300歩の新保式ボールウォーキング
こうしたウォーキングの目標歩数の事情に対して、私たちフットマスターグループでは、1日300歩の新保式ボールウォーキングを推奨しています。
300歩、どんな歩き方をすればいいかというと「体に負担のかからない正しい歩き方の練習」です。
例えば四角いサイコロが転がるようにドスンドスン歩いていたら、足腰の関節へ負担が溜まって、いずれ関節が悲鳴を上げることは想像にかたくありません。それに対して、ボールが転がるように地面とケンカせず滑らかに歩くことができれば、歩行動作で関節を痛めずにいくらでも歩くことができます。
このボールが転がるような歩行動作が「新保式ボールウォーキング」になります。体の構造を理解した歩き方なので、無駄に力む必要がありません。腕を大きく振ったり、ももを高く上げたり、地面を強く蹴ることは、運動量を上げるには効果的かもしれませんが、かえって筋肉に力が入ってしまうので、それを推奨しない歩き方になっています。
このような「新保式ボールウォーキング」を毎日300歩練習することで、徐々に正しい歩き方を身につけ、無意識にでも正しい歩き方をできるようになろうというのが、私たちフットマスターがお伝えしている歩き方になります。
例えば、「字がうまくなりたい」と考えた時に、我流で字を書く練習をしてもうまくなりません。正しい字体の見本を真似して練習するから、正しい字が書けるようになります。
私たちは「正しい歩き方」を習ってきませんでした。それなので、健康のためにウォーキングを取り入れると、腕を上げたり、ももを高く上げたり、地面を蹴ったりと、それぞれが正しいと思う歩き方を追求しがちです。しかし、そうした歩き方をしていると、いつも負担のかかっている部分が壊れていってしまうのです。
そうならないために、正しい歩き方を知り、実践して、一生自分の足で歩き続けましょうとお伝えしています。
流カイロ院のウォーキング教室の様子
ウォーキングの目標歩数は目的に合わせて
ここまで見てきたように、健康のためのウォーキングの歩数設定は、身体活動量から換算した「1日1万歩」からスタートしました。
しかし、「1日1万歩」では関節への負担や、年齢別の体力などを考えると無理があるということになり、さまざまな条件に合わせたウォーキング方法が設定されるようになってきました。
一方で私たちフットマスターは、「正しい歩き方の練習のための必要歩数」として300歩を提案しています。
目標歩数だけに着目すると数字はそれぞれで異なりますが、その根拠をたどるとウォーキングの目的や方法で変わってくることが分かります。「手軽な運動」としてウォーキングが受け入れられてきていますが、昨今はその奥深さの理解が広がってきているといえます。
つまり、「1日〇〇歩」とノルマを設定して毎日こなすことは簡単ですが、「健康のためのウォーキング」と考えると、目的や方法を吟味してそれに見合った歩数を設定する方がより良い結果をもたらします。
自分の体の状態や目的に合わせて、ウォーキングの歩数は考えていきたいものです。
正しい歩き方をお伝えする「フットマスター」
私たちフットマスターグループでは、関節に負担のかからない正しい歩き方の「新保式ボールウォーキング」をお伝えしつつ、その補助となる「オーダーメイド矯正インソール」の製作をしています。
正しい歩き方や靴環境のご相談は、全国のフットマスターにお任せください。
<過去の記事>
普段履いていらっしゃる靴。あなたの足に合っていますか?正しい靴選びには大切なポイントがあります。
腰や膝に負担のかからない、正しい歩き方をご存知ですか?足のことなら歩き方のことなら フットマスターにお任せください!
足首のゆがみは お身体全体のゆがみへと繋がります。つまり 足もとを整えることで、足の疾患や腰痛や肩こりなどの不調はもちろん、冷えや血流改善も期待できます。
人生最後の下りステップをご存じですか?人は衰える時に、歩行→排泄→食事の順に困難になっていきます。このことは裏を返すと、歩行困難を避けることが健康に長生きするために重要な要素と言い換えることができます。今回は、人生100年時代に知っておきたい足の健康について解説しました。
クライアント様から試着ではバッチリだったパンプスが、履いて数週間でつま先が痛くなるようになったと相談を受けました。靴や立ち方を見てみるといくつかの原因が浮かび上がってきました。今回は靴の材質・重心の位置について注目してみました。
最新の研究では、一日の座っている時間が長くなるほど、ガンになったりメンタルヘルスの不調をきたしたりするリスクが高くなることが分かってきました。一方で、このリスクは一日30分のウォーキングで帳消しにできるそうです。今回は座り時間とウォーキングについてまとめました。
知らないうちにすり減っている靴の踵にどう対処していますか?革靴やパンプスなら修理に出しますが、スニーカーやランニングシューズは放置しがちですよね。自分でできる補修剤を取り寄せ、ランニングシューズの修理前後で足首の歪みがどのように変化するか検証しました。
外出自粛により、運動不足になって全身の筋肉が固まることで、ギックリ腰や寝違えなどの急性の痛みを訴える方が増えてきています。命には関わりませんが、こちらの体調管理にも気を付けたいものです。お家にいながらにして簡単にできるセルフケア「青竹踏み」についてまとめました。
子どもの土踏まずの発育は、その子が将来に腰痛・ひざ痛で悩むかどうかについて密接に関係があります。子どもの土踏まずを守るために知っておきたい土踏まずの成長と靴についてまとめました。
足の人差し指の付け根にタコができてはいませんか?定期的に削っているなんて話をたまに耳にしますね。実はこの部分のタコは、土踏まずのアーチが崩れて足首がゆがんできている証拠です。放置すると腰痛やひざ痛などの痛みや、外反母趾や偏平足などの変形の原因になります。今からできる対処法を解説しました。
ウォーキングを始めてみようと思ったけど、週に何回、何分間、どれぐらいのスピードで歩けばいいの?と思ったことはありませんか?実はウォーキングは手軽にできる運動ですが、とても奥が深いのです。正しいウォーキングのいろはを解説します。
勢を正すと身長は高くなるのか?と思ったことはありませんか?私も平均身長よりも低いのでとても分かります。身長を少しでも高く見せるには何に着目して、どのようなことを気を付ければいいのか?低身長の整体師が解説します。
ひざの外側の出っ張りが痛むことはありません?最初は放っておいても治ったのに、徐々に痛みが引くのが遅くなってきていたら注意が必要です。膝の曲げ伸ばしが多いマラソンやバスケットボールの選手に多いこのような症状に腸脛靭帯炎(ランナー膝)があります。今回は腸脛靭帯炎のメカニズムと対処法を開設します。
中高生の陸上部員がなりやすいスポーツ障害の一つにシンスプリントがあります。主にスネの内側が痛くなり、長引くとトレーニングを長期離脱しなければなりません。オーバーユースが原因の一つですが、実は痛みの出ている部分とは全く違ったところに原因があり、そのケアをしないがために痛みが長期化しているケースも少なくありません。一度痛み出すと厄介なシンスプリントの治し方について解説しました。
足の指と指の間に痛みやしびれが出るのがモートン病です。足のアーチの崩れにより、指の間の神経が圧迫されるため症状が現れます。放っておくとかばって歩いてしまうので姿勢が崩れて、肩こりや腰痛・ひざ痛などの原因になります。一度起こると厄介なモートン病について解説しました。
朝起きた時に足を着いたら、かかとに痛みが走るのが足底筋膜炎です。最初は少し歩き出せば痛みに気にならなくなりますが、実は歩くたびにかかとに負担がかかっているので、意外と長引き、場合によっては痛みがひどくなったり、かかとの骨が棘状に異常な発達をして手術が必要になることがあります。痛み出したら早期に解決したい足底筋膜炎についてまとめました。
ふと履きなれた靴を見てみて、「あれ?片方に偏った歩き方をしているように靴の形が崩れているな」と感じたことはありませんか?実は靴には体の歪みによる体の使い方のクセが出やすいので、体の不調のサインが出てきます。全身の歪みを防ぐうえで大事な土踏まずで起こる歪みの原因と、その予防法をまとめてみました。
ランナーにとって足の裏にできるマメは小さいけど大きい問題ですね。足を踏み出すたびに痛み、全力で走れないだけでなく、フォームが崩れてひざ痛や腰痛などの故障の原因になることがあります。でもマメってどうしてできるか知っていますか?知っていそうで知らないマメの予防法をまとめました。
ふわふわモコモコであたたかそうなムートンブーツですが、実はしっかりと選ばないと歩き方が悪くなって、足のむくみや腰痛の原因になってしまいます。ムートンブーツを購入する際にチェックしたいポイントについてまとめました。
自分の歩き方をチェックすることは難しいですが、正しい歩き方ができているかどうかは、足からの歪みを防ぐには重要です。靴を見て歩き方に悪いクセがないかチェックするポイントをまとめました。
子どもの足の成長が早いからといって、サイズの大き目の靴を選んでいませんか?実はサイズの大きい靴で歩いたり走ったりすることは、子どもの足の成長には良くありません。子どもの靴選びについてまとめました。
インソールは靴の隙間を埋めたり、クッション性を高めるものだと思っていませんか?実は、そのようなインソール選びはそもそも靴が足に合っていない可能性があります。それではインソールにはどんな機能を求めるものなのか?インソールについてまとめました。
足の親指の外側にたこや巻き爪ができやすくて困っていませんか?何度も削ったり、靴を履きかえてもまたできてしまうのは、歩き方にある特徴があるからかもしれません。足の親指の外側のたこや巻き爪で悩む人に試してもらいたい正しい歩き方のポイントをまとめました。
靴のかかとの減り方が気になったことはありませんか?実はかかとの減り方を詳しく観察すると、どのように身体が歪んでいるかのヒントが見えてくるのです。しつこい肩こり・腰痛・ひざ痛が、実は普段の歩き方や姿勢のクセが原因で起こっているかもしれません。かかとの減り方の特徴と身体のゆがみをタイプ別に解説しました。
突然ですが、手をグーに握ったまま逆立ちができますか?指を大きく開いていないと逆立ちができないように、足の指を上手に使えていないと、バランスが崩れて足腰がムダに力んでしまうのです。実は足指がうまく使えず、腰痛に悩んでいる人が多く見られます。足指の正しい使い方を解説しました。
運動不足だから、せめて通勤の時に歩く時に地面を力いっぱい蹴ってあるこう!」その歩き方は、足首の動きを固めて体の連動性が悪くなるので、疲れやすく運動効率も悪くなります。いつも歩きを代謝アップさせるコツを解説しました。
自分の足は幅広だからと、緩い靴を選んでいませんか?実は、その選び方では足のアーチが歪み、幅広が更に進行する危険があります。自分の足は幅広だと思っている方の、靴選びのポイントをまとめました。
足の指先が冷えやすい人は、冬にはモコモコのムートンブーツが手放せないですよね。でも素材が温かそうでも、履き方や選び方によっては、冷え性がひどくなることもあるんです。ムートンブーツを履く時に気を付けたいポイントを解説しました。
足が冷える時期にこむら返りの相談が増えます。ふくらはぎがつって対処が分からず、落ち着くまで痛みを我慢していませんか?実は筋肉がつるメカニズムが分かれば対処は簡単なんです!こむら返りの対処法を解説しました。
■【靴のサイズの左右差解決法】
年齢とともに靴の履き心地に、左右で違いが出てきてはいませんか?それは身体の歪みのサインです。正しいセルフケアと靴・インソール選びで、腰痛・ひざ痛・外反母趾の原因を防ぎましょう。
■【ヒールでの土踏まずの痛み予防法】
パンプスを履いた時に、足の裏が痛くなったことはありませんか?どうして足が疲れやすくなるのかを、パンプスを解体して履いた時の土踏まずの変化を観察して解説しました。
■【買う前に確認!疲れないヒールの選び方】
ヒールの高い靴を選ぶ時に、デザイン以外で気にしていることありますか?実はとても簡単な確認をするだけで、足に優しい靴かどうか分かるんです。
■【靴選び】外反母趾のインソール矯正
外反母趾は土踏まずのアーチを元に戻す必要があります。オーダメイド矯正インソールを使った事例を紹介しました。
□当院のブログでも、足・靴・インソール・歩き方にまつわる記事を掲載しています。