運動中や運動後にスネの内側に痛みが起こるクセはありませんか?繰り返しランニングやジャンプをすることの多い陸上競技やサッカー、バスケットボールなどで、起こりやすいスネの内側の痛みの一つに、「シンスプリント(脛骨過労性骨膜炎・過労性脛部痛・脛骨内側症候群)」があります。最初は大したことがないと思って痛みを我慢して走ってしまいがちですが、放っておくと痛みが持続して強くなるので走れなくなってしまいます。最終的には疲労骨折の原因にもなりかねません。また時間がたつと非常に治りが悪くなるので、早いうちからの治療が大切です。
治療には痛む部分の安静が必要となるため練習を離脱せざるを得ず、部活動に打ち込む学生にとってはとてもストレスになります。トレーニングの遅れによる焦りから、治療が不十分な状態で練習に復帰し再発を繰り返すことで、モチベーションを落とすケースもしばしば見受けられます。
今回は、部活動を頑張る学生や、その保護者の方にぜひ知っておいて欲しいシンスプリントの原因と治療法について解説していきます。
シンスプリントとは?
シンスプリントは、運動中や運動後にスネの内側の脛骨(けいこつ)の下側1/3に痛みが発生することを特徴です。まれに膝の内側(鵞足部痛)やスネの外側(前脛骨部痛)に起こることもあるようです。痛みは脛骨に沿ってうずくような鈍痛で、 筋肉が骨に付着するラインに沿って起こります。
ランニングやジャンプを繰り返し行うことで、地面を蹴る時に使う筋肉(ヒラメ筋・後脛骨筋・長趾屈筋)が脛骨の骨膜を引っ張るように働くため、これらの筋肉を使い過ぎて骨膜を剥がすような負担が蓄積すると炎症が起こり痛む原因となります。
多くの場合、痛みや不快感は運動の始めに生じ、運動中は一時的に消えることもありますが、運動を終了するとまた痛くなってきたりします。症状が進むにつれ、痛みや不快感は段々ひどくなり、運動中はずっと持続するようになります。最終的には、ベッドから起きる時や日常生活の他の動作の最中にも痛みが伴うようになってしまい、ストレッチなどのセルフケアを怠ると疲労骨折の原因になってしまいます。
シンスプリントの原因
シンスプリントはランニングやジャンプを過度に繰り返し行い、ヒラメ筋や後脛骨筋、長趾屈筋を使い過ぎた時に、脛骨の骨膜に炎症が起こり痛みが発生します。それなので陸上競技やサッカーなどの練習の量・時間・内容・日数などが急激にハードになった時は注意が必要です。
特に発症しやすいのは、運動を始めたばかりの部活動の新入部員です。この場合、身体ができていない状態に、急激に運動量が増加したことが原因になっていると考えられます。新しいスポーツに取り組む時は、段階的にトレーニング量を増やしていくように注意する必要があります。
またランニングフォームの修正する際に無理な動きをすることや、トレーニングで硬いコンクリート面を長時間走ったりすることも、シンスプリントの原因となる筋肉に負担を蓄積させます。
シューズ選びも重要で、薄く硬いシューズを履いてトレーニングを行うこともシンスプリントの原因になります。クッション性が良くかかとが安定した練習用シューズを選ぶようにしましょう。インソールを使って土踏まずの衝撃を吸収する機能をサポートすることも大切です。
その他、O脚・回内足・扁平足などの足のゆがみも、シンスプリントの原因となる筋肉に過度の負担となります。靴の踵の外側が減りやすい人は回内足の可能性があるので、足の専門家に相談しましょう。ふくらはぎの柔軟性がない場合も注意が必要です。土踏まずのアーチが働いていないと、足首の動きが固くなります。ふくらはぎのストレッチや足の裏のマッサージをして筋肉の柔軟性を高めつつ、インソールで土踏まずのアーチをサポートして足首の可動域を保つとシンスプリントのリスクは軽減します。
シンスプリントの治療とリハビリ
痛みの強い急性期は、安静とアイシングが大切になります。部活動をしている学生などにはストレスになることがありますが、ランニングの休止を徹底してアイスマッサージを行うようにしましょう。脛骨の骨膜で起こっている炎症を抑える必要があるため、整形外科では消炎鎮痛剤が処方されます。O脚・回内足・扁平足などの足のゆがみが原因となっている場合には、靴にオーダーメイド矯正インソールを入れて土踏まずのアーチを矯正することも効果的です。。
痛む場所の安静を確保できれば、足への荷重を避けられる水泳やエアロバイク(ペダルはかかとで踏む)などの運動で心肺機能を保つことは可能です。クールダウンなどでは、股関節・足首・アキレス腱を中心とした足のストレッチや、青竹踏みなどによる足の裏のマッサージを念入りに行うようにしましょう。
歩く時の痛みがなくなったら、足の指でタオルをつかむタオルギャザーや、足関節の軽いチューブトレーニングを行い、土踏まずのアーチの強化に努めましょう。
押しても痛くなくなったら、ウォーキングから身体を慣らしていきます。両脚でジャンプをしても痛みが出なければ、軽いジョギングを再開しても大丈夫です。ただし、まだコンクリートなどの硬い地面の上は走らないようにして下さい。また練習量を急激に増やすと、再び痛みが出る原因になります。足に荷重がかかるトレーニングを再開する時は、焦らず無理せず、身体との対話するように慣らしていくことが重要です。
タオルギャザー
ヒラメ筋のストレッチ
まとめ~シンスプリントは痛いところに原因があるとは限らない
いかがでしょうか?今回は陸上競技やサッカー・バスケットボールなどに打ち込む中高生に生じやすい、シンスプリントというスネの内側の痛みについて解説しました。
痛みが生じているのは筋肉がスネの骨に付着している部分です。スネの内側に付着する筋肉の使い過ぎで、骨の表面の骨膜が引っ張られることで炎症が起きて痛みの原因となります。それなので、痛みが引くまで安静にして、負担のかかっている筋肉の負担を和らげたり、ストレッチやマッサージを行うことが大切です。
また、練習メニューがオーバーワークになっていないか見直すことも大切です。痛みが出たら、休む勇気を持ちましょう。
そして、足の構造的に負担のかかるような歪みがあれば、シューズやインソールを使って歪みを矯正することがとても重要です。足にゆがみがある人は、矯正ツールを使うことで故障の予防になるだけでなく、競技力の向上にもつながります。足の専門家に相談して、自分の身体に合ったシューズやインソールを使うようにしましょう。
【越谷のひざ痛・腰痛専門整体】
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