寒くなってきましたね。フワフワモコモコで温かいムートンブーツが活躍する季節になってきました。実はフットマスターという足の専門家をしていると、ムートンブーツを履いている人を見ていると気になることがいくつかあります。その一つは、靴底がひどく削れている人がとても多いことです。靴底が極端に減ったまま履いていると、姿勢や歩き方が崩れて見た目が悪くなるだけではなく、体の歪みの原因になり腰痛やひざ痛を引き起こします。
今回は、ムートンブーツが原因で疲れや痛みが出るのを防ぐためのマメ知識を解説していきます。
ムートンブーツでスネが疲れやすい・ふくらはぎがむくみやすい
ムートンブーツを履いていると足が疲れやすいと思ったことはありませんか?スネの筋肉(前脛骨筋)の疲れや、ふくらはぎのむくみなど、疲れの感じ方はさまざまだと思います。これらの原因になっているのは、ムートンブーツの構造に原因があります。
ムートンブーツに限らず、長靴状の靴は、履く時に足が入りやすくなるように、足首や足の甲の部分の空間に余裕があります。この空間があるために靴の奥まで足が入るのですが、靴を履いて立った時に、足首の前側から足の甲にすきまができてしまいます。実は、このすきまがあると、私たちは無意識に歩くたびにつま先を上向きにするように足首の関節を固定してしまいます。この時に力が入るのがスネの筋肉なのです。
また、足首の動きが小さくなると、ふくらはぎの筋肉(下腿三頭筋)を使って歩けなくなります。ふくらはぎの筋肉は「第二の心臓」と言われる通り、大きく伸び縮みすることで血管やリンパ管にポンプ作用として働きます。歩く時に足首を使ってふくらはぎの筋肉を大きく動かすと、そのポンプ作用によって血液やリンパ液が送り出されるので、血行が良くなりむくみを防ぐことができるのです。
しかし、ムートンブーツを履くと足首から足の甲にすきまができるので、足首をロックしてしまい、ふくらはぎの筋肉の動きが小さくなり、ポンプ作用が機能しにくくなります。それなので、ムートンブーツを履いていると、ふくらはぎがむくんでしまい、足が疲れやすくなってしまうのです。
ムートンブーツのかかとの減りが早い
他の靴と比べてムートンブーツのかかとの減るのが早いと感じたことはありませんか?実はこの原因も、足首の前側から足の甲にできるすきまが原因です。このすきまがあると、歩く時につま先を上向きにして足首をロックしてしまいがちなのですが、これはつっかけのサンダルが脱げないように、つま先に引っかけて歩いているのと同じ状態です。足を前に出す時に、靴のかかとがブラブラと足にぶら下がるようになり、かかとを地面にこするように着地をするので、かかとの減りが早くなってしまうのです。
それなので、このような歩き方の傾向は、歩いている時の足音の変化でも気付くことができます。ムートンブーツを履いている時だけ、かかとを擦る音が気になっていませんか?足の疲れを感じていなくても、ふくらはぎがむくみ、スネの筋肉が発達して、足が太くなる原因になります。また、歩き方も腰が落ち、猫背になって、みすぼらしい姿勢になりがちになります。思い当たる人は、ムートンブーツのかかとの減りや歩く時の足音を気にしてみて下さいね。
ムートンブーツの購入時のチェックポイント
このように、ムートンブーツは脱ぎ履きの時に、足を通りやすくするため、足首の部分が広く作られています。しかし、それがかえって歩きにくい原因となってしまっています。このため歩き方や姿勢を崩し、スネの疲れやふくらはぎのむくみを引き起こしてしまっていることがよく見受けられます。これを解決するには、購入時にあることをチェックすることが必要です。
それは、足首や足の甲の部分のフィット感を上げるインナーやベルトなどがあるかどうかの確認です。足をムートンブーツに入れた後に、足首や足の甲部分を締めて空間を埋めるだけで、履き心地が全然違ったものになります。履き心地が良くなれば、足の余計な力が抜けて、足首が自由に動かせるようになり、ふくらはぎの筋肉の伸縮も大きくなります。つまり、第二の心臓のポンプ作用がしっかりと機能し、足のむくみを防げるようになるのです。
ぜひ、新しいムートンブーツを購入する際は、足首や足の甲の部分のフィット感に注意してみて下さい。
まとめ~足が疲れないムートンブーツを選ぶには足首のフィット感が重要
いかがでしたでしょうか?
ムートンブーツは脱ぎ履きしやすいように足首が広く作られているため、かえって歩く時に足に余計な力が入り、姿勢が崩れ、足の疲れやむくみの原因になることがあります。これを防ぐのが、足首のフィット感を上げるインナーやベルトの機能です。足の甲がフィットすれば、必然とかかとも浮かなくなります。つまり、足と靴が一体化することになります。足と靴の一体感があると履き心地を良くなり、足のムダな力が抜け、足首が自由に動くようになります。これで、第二の心臓のポンプ作用もしっかりと機能するようになり、足の疲れやむくみを防げるようになるのです。
このように、疲れにくい靴選びには、足と靴が一体化する感覚が重要です。その意味で、足の甲の部分が面で靴と接し、フィットすることはとても大事なことなのです。ぜひ、これからの靴選びの際は、足の甲部分を抑える構造にも注意してみて下さい。
体の歪みを防ぐことを考えると、足は土台になるので、足の歪みを防ぐことはとても大事なことです。例えば、建物の窓枠が歪む原因が基礎の歪みにあれば、窓枠を何回替えても根本的な解決にはなりません。それと同じように、繰り返す腰痛・ひざ痛などが、実は足の歪みから起こっていることがあります。体の悩みを解決し、予防していくには、足の歪みを防ぐことはとても大切なことなのです。
私たちフットマスターは足からの健康にこだわり、オーダーメイド矯正インソールの製作や、正しい靴選び、歩き方の指導などに携わっています。足からの健康なら、全国のフットマスターにご相談下さい。
【ひざ痛・腰痛専門整体】
流カイロプラクティック院
院長 流岳史
埼玉県越谷市越ヶ谷1-16-12文之堂ビル1-C
048-971-5656
nagare@nagare-chiro.com
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