画像のように、靴の内くるぶしが伸びてきてはいませんか?実は、これは歩く時に足をまっすぐに使えていないサインなんです。靴の内側がこのように伸びていて、繰り返す腰痛やひざ痛でお悩みの人は、腰やひざだけでなく足から対処をしなければ、悪循環を断ち切ることができません。
またこのように靴が変形している人で、「自分に合う靴が年々少なくなっている」と感じている人も、靴の選び方を見直さなければ、外反母趾・扁平足・開帳足など足の形の変形が進んでしまう危険があります。
今回は、靴の内くるぶしの部分が伸びてきてしまう人の体の使い方の特徴と、改善方法をご紹介していきます。
内くるぶしの辺りが伸びてきた靴
なぜ靴の内側が伸びてくるのか?
それではなぜ、靴の内側が伸びてきてしまうのでしょうか?
それには足の構造を理解することが大切です。画像は右足の骨格模型を後ろから見たものになります。足首が真っ直ぐに理想通りの位置にある状態をニュートラルポジションといいます。
まず注目していただきたいのはは土踏まずの部分です。ニュートラルポジションに足を立たせると、内側は土踏まずになるので空洞になります。それなので、実は足は体重を支えるのに内側が弱い構造になっているのです。
次に、足首の関節を見てみましょう。関節を作る骨のつぎ目が内側に向かって斜めに下がっています。ここからも、足首が内側に倒れやすい構造だということが見て取れます。
それでは、なぜ足首はこのようなバランスの悪い構造をしているのでしょうか?
実は骨格模型では見えない、筋肉や靭帯の働きにその答えがあります。健康的な足の人は、立ったり歩いたりして足に内側に向かう力がかかっても、土踏まずの形を維持するために筋肉や靭帯がスプリングのように働き、反発力を生んで、衝撃を吸収して前へ進む力に変えています。
つまり、筋肉や靭帯の強力な弾力が土踏まずの形状記憶作用として働き、骨格の内側へかかる体重負荷に対する弱さを補い、衝撃を吸収し、それだけでなく推進力に変換しているのです。
このように緻密な構造になって私たちの体を歩行時の衝撃から守ってくれる足の構造ですが、実は加齢や間違った靴の履き方・選び方などで筋肉や靭帯が弱ってしまいます。
土踏まずの筋肉や靭帯が弱ってしまうと、このスプリングの力が働かなくなってしまいます。それなので、体重がかかると足が内側に傾いたままになってしまうのです。そして倒れた足が靴の内側を引っ張り、靴の内側が伸びてきます。それなので靴の内側が伸びてきている人は、歩くたびにニュートラルポジションを維持できずに、足を内側に傾けて歩くせがあるといえます。
足首が傾くと構造的にすねの骨が捻じれます。この時にひざに負担が伝わるので、ニュートラルポジションの崩れはひざ痛の原因になります。そして、ひざ関節に捻じれが伝わると、同様に大腿骨を伝わって股関節にも伝わります。これが股関節痛にもなり、骨盤の傾きとなり腰痛や姿勢の崩れなど全身の不快症状の原因にもなるのです。
土踏まずが落ちることで起こる足の変形
土踏まずのアーチが崩れてくると、足の形が変わります。外反母趾・内反小趾・扁平足・開帳足は、土踏まずのアーチの崩れによる変形です。それなので、明らかに足の変形がある人で繰り返す腰痛・ひざ痛に悩む人は、足から見ていく必要もあるといえるでしょう。
また、これらの足の変形が生じると、一般的な足の形との差が生まれるので合う靴も少なくなってきます。まだ目立った変形や痛みがない人でも、足の甲が沈んできて、その分、幅が広くなって靴選びに悩むケースもあります。「合う靴が見つからない」とお悩みであれば、早めに土踏まずのアーチが崩れを予防する対策を取るようにしましょう。
左足の外反母趾が強いクライアント様
フットプリントを取ると、左足の土踏まずが地面についているのが分かります。
外反母趾・扁平足になっている左足はニュートラルポジションを保てなくなっています。
土踏まずのアーチを崩れなくする方法
以上のように、靴の内くるぶしの部分が伸びてきやすい人は、土踏まずのアーチを守る筋肉や靭帯の力が衰え、歩くたびにニュートラルポジションを崩した歩き方になっていて、その負担がひざや腰などにたまりやすくなっています。
それでは、このような状態を防ぐのにはどのような方法があるのでしょうか?
まず一つは、靴選びが重要です。土踏まずのアーチが崩れてくると、その分、足の幅が広がってくるので、今までのサイズでは窮屈に感じてワンサイズ大きくしたり、素材の柔らかい靴を選びがちです。
これらは、一時の履きやすさは生みますが、実は足の変形を進めるNGな選び方です。
靴には体に合わせて曲がる場所が計算されて作られています。それなので、サイズの大きい靴を買ってしまうと、靴の曲がる部分と関節が曲がる部分がずれてしまうので、歩きにくくなって悪い歩き癖がつく可能性があります。これも土踏まずのアーチが崩れる原因になりますし、ひざ痛や腰痛へ連鎖してきます。
それなので、もし靴の幅が多少きつく感じても許容できるレベルなら、サイズは大きくしない方が賢明です。その方が、土踏まずが潰れて横に広がるのを抑えてくれる力が働くからです。
更に靴を履く際には、靴ひもやバンドなど足の甲で靴を固定できるタイプの靴を選ぶと、靴のフィット感が高まり、足の形の崩れを防いでくれます。
それから注意したいのは、靴の内くるぶし側やかかとの部分の素材の強度です。あまり普段は気にすることのない部分かもしれませんが、しっかりした構造の靴はこの部分が固く作られています。ここが固いと、足が内側に傾くのを抑えて、推進力を生みやすくなり歩きやすくなるからです。もちろん、足が変形するのも防いでくれます。
しっかりした素材のものになると、必然と靴も重くなりますが、持った時の重さで敬遠してはいけません。実は、土踏まずのスプリング作用を助けてくれる靴は、履いた時に手で持ったときほど重くは感じません。逆に手で持った時は軽いけど、構造的に歩くのを助けてくれないので、重く感じる靴もあります。
このように足の変形が出てきた人は、軽くて柔らかい靴の方が選びやすいのですが、これ以上の足の変形を予防するのにはオススメできる選び方ではありません。足の変形が大きい人ほど合った靴を探すのは大変になりますが、根気よく重く固い靴でも土踏まずのスプリングの役割を助けてくれる靴を探したほうが、大切な足腰を守る選択になります。
インソールで土踏まずをサポートするのも効果的
慎重に靴を選んだら、次に利用したいのがインソールです。
インソールは靴の中に敷くので、土踏まずを下から支えることができます。土踏まずを助けてくれる機能を「アーチサポート」といいます。インソールにも使用目的で、さまざまな特徴があるものがありますが、スプリング機能が弱っている人は、アーチサポートに優れたインソールを使うことをオススメします。
注意点は、しっかりと足の裏から土踏まずを支えるためには、インソールの土踏まず部分に十分な高さと固さが必要だということです。市販品だと万人の足に合うようにしてあるので、高さが足りず、素材も柔らかくなりがちです。あまり高さを出して強度を高めると、人によっては土踏まずに痛みが出てくるからです。
そこで試していただきたいのは、私たちフットマスターがお作りするオーダーメイド矯正インソールです。
オーダーメイド矯正インソールは、足に体重の影響がかからないようにクライアント様にはうつ伏せになっていただいて、訓練した技術者がニュートラルポジションをそろえて、土踏まずを理想の状態に近づけて、丁寧に石膏採りした足型をモデルにお作りします。こうすることで、クライアント様の本来の足形に矯正できるインソールができあがります。お一人お一人の足に合わせたオーダーメイド品なので、土踏まずのアーチを維持するのに十分な高さと強度でインソールをお作りすることができます。
慎重に選んだ靴に、このようにアーチサポートに優れたインソールを入れると、靴の内側が伸びる動きがかなり抑えられるようになります。そうすることで、外反母趾などの足の変形や、それにともなう歩き方の悪い癖による繰り返すひざ痛や腰痛のリスクも低くすることができます。
まとめ~土踏まずのアーチが崩れるのを防いで足の形が崩れるのを防ぐ
以上のように、繰り返すひざ痛や腰痛でお悩みの人は、靴の内側が伸びているかどうかを確認するだけで、歩き方に癖があり、そのせいで腰痛やひざ痛を繰り返しているかをチェックすることができます。もし当てはまれば、足や靴から体が歪む習慣を改善することで、痛みを繰り返すリスクを低くすることができます。
何故なら土踏まずのアーチが体重を支えられなくなり、ニュートラルポジションを保てなくなることが、歩き方に悪い癖を作る原因になるからです。
これは、足の形が崩れるのを保護し、土踏まずのスプリング作用を補助してくれる靴やインソールを使うことで防ぐことができます。足の形が崩れ始めると、足の機能を守り、助けてくれる構造で、ご自分に合った靴を探すのは大変な労力が必要になりますが、かならず繰り返す腰痛やひざ痛を防ぐにはとても大切なことです。
もし、ご自分に合った靴やインソール選びに困ったら、私たち足や靴の専門家フットマスターにご相談下さい。
【ひざ痛・腰痛専門整体】
流カイロプラクティック院
院長 流岳史
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