腰痛や膝の痛みを考える時に、足の指はとても重要な役割を果たしていることをご存知ですか?
□足の指が曲がっている(外反母趾・内反小趾・ハンマートゥ)
□親指の先が浮いている(浮き指)
□足の指を開いた時に足の指が一本一本離すことができない
□足の指をギュッと握った時に第3関節から曲げることができない
□足の指を一本ずつ動かせない
これらが当てはまる人は、足の指を動かす筋肉が弱っている可能性があり、足の指をうまく使えないために体のバランスが崩れてしまっています。この崩れたバランスを腰や膝で補おうとするので、周囲の筋肉が凝って腰痛やひざ痛の原因になることがあります。
今回は、足の指と腰痛やひざ痛の関係やその対処法を紹介していきます。
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逆立ちする時に指を使わないと??
足の指を使えない状態が、どれだけバランスが悪いかと言うのは、逆立ちをした時のことを考えてみると想像しやすくなります。
逆立ちをする時には、手のひらは大きく広げて、手の指を伸ばして使いますよね。もしこの指が握っていたり、指先が浮いていたらどうでしょうか?たちまちバランスを崩して倒れてしましいます。これは立った状態の足にも同じことがいえるのです。
ですから、足の指が変形していたりうまく使えていないと、バランスが崩れて転倒をしやすくなります。転ぶのを防ぐために、膝や腰の筋肉が力むので、その負担の蓄積が痛みの原因となるのです。
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足の指を動かす感覚を忘れがちな現代人
それではなぜ私たちの足の指は使えなくなったり、変形してしまうのでしょうか?
まず、足の指をうまく使えなくなる要因として考えられるのが運動不足です。
足の指をうまく動かせない人の指は、とてもやせ細っています。足の指を動かすのに十分な筋肉がついていなければ、動かしたくても動かせません。
それなら、単純に運動量を増やせばいいのかというとそうではありません。実は一日に何十キロも走っている陸上の長距離選手ですら、足指をうまく動かせないことがあるのです。
なぜかというと、人間の体は、使っていないと脳からの指令が行き届かなくなることがあるからです。大昔、私たちの祖先は、舗装されていないデコボコの道を裸足で歩いていました。獲物を追いかけたり、天敵から逃げたりするのに、生活の中で足指の神経まで研ぎ澄まして身体能力を最大限に活かそうとする機会は、今に比べると断然に多かったことでしょう。
一方で現代に生きる私たちは、外を出歩く時に靴を履いています。平坦に舗装された固い道では、踵を保護するのに靴が必要になります。しかし、靴の中では指がまとめられてしまいます。それでいて、走ることが趣味でもなければ全力で走ったりする必要がありません。そうしているうちに、いつの間にか私たちは足指の使い方を忘れてしまうのです。
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足の指を動かすためのエクササイズ
このように足の指をうまく動かせなくなってしまった人は、動かすのに必要な筋肉と感覚を身に付ける必要があります。
しかし、難しく考えなくても大丈夫です。そのエクササイズはとても簡単です。
裸足になって足の指の動きを目で確認しながら、足の指をグーにしたりパーにして下さい。この時にゆっくりとでいいので、最大限に大きく足の指を動かし、指は一本一本動いているかを確認することが重要です。
パーの時には、足の指が一本一本独立するように開くように努力しましょう。またグーの時は第三関節から曲げるように努力しましょう。きちんと動くようになると、握った手と足を並べるとどっちがどっちだか分からなくなることがあります。
最初は、うまく動かせないかもしれません。地味なエクササイズですが繰り返し繰り返し、動いていない場所を確認して動くように念じて練習すれば、徐々に脳から足の指へ指令が届くようになっていきます。
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足の指の変形と土踏まずのアーチ
それでは、足の指はなぜ変形してしまうのでしょうか?
曲がったり捻じれたりしている足の指を、お風呂で毎日元の方向へ戻すようにマッサージしているけど効果がないというお話を耳にします。それもそのはず、実は指の変形は土踏まずのアーチの変形に原因があるのです。
足の表面積は、体の表面積の2%と言われています。ですから、立っている時には、私たちの体重はこの2%の表面積の足の裏に集中します。更に歩いている時には片足立ちになるので、1%になってしまうので、相当な負担がかかっていることは想像にかたくありません。
これを支えるために足は、両足で56個の骨で構成されています。全身の骨が208個ですから、足には1/4が集中していることになります。これは体重負荷や歩く際の足の着地の衝撃を吸収するために、足には精密かつ繊細な設計がされていることの証といっても過言ではありません。
この複雑な構造を支えているのは筋肉や靭帯です。これらの筋肉や靭帯が衰ええると、片足28個の骨の構図が歪んで土踏まずのアーチが変形してしまいます。アーチの構造が歪むということは、立ったり歩いたりする時の関節の動きも変わってきてしますので、これに伴って足指も曲がってしまったり、捻じれてきてしまうのです。
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足指の変形の防止方法
このように足指をまっすぐに保つには、土踏まずのアーチの歪みを防ぐことが重要になってきます。つまり、アーチを支える筋肉や靭帯の衰えを防ぐことです。
実はアーチを支える筋肉は、前述の足指の曲げ伸ばしで使われる筋肉と関係しています。それなので、お風呂などで足の指の動きを確認しながら、大きく伸ばしたり強く握って、足の指周りの筋肉が衰えないようにすると、足指をコントロールする感覚を磨きつつ、足の指を動かしたり、アーチを支える筋力をつけることができます。
また、アーチを保つには土踏まずの柔軟性を保つことも重要です。青竹踏みやゴルフボールを足の下でゴロゴロ転がすなどして、土踏まずのマッサージをすることもおすすめです。
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靭帯の衰えには注意が必要
しかし、注意して頂きたいのは、一度衰えた靭帯を回復させるのは難しいということです。
靭帯は、例えていえば強力なゴムのような性質をしていて、関節が曲がってはいけない方向に伸びないように抑えて、脱臼などを防ぐ役割をしています。曲がってはいけない方向への力が強すぎると、靭帯は伸びてしまったり切れてしまうことがあります。伸びてしまったり一部損傷の場合を捻挫といい、完全に切れてしまった場合は靭帯断裂といいます。
このように靭帯を一度ケガしてしまうと、靭帯の機能が弱くなるリスクが上がります。ですから、足首を捻挫しやすい人や足を骨折したことのある人は、比較的、足のアーチが崩れやすい傾向にあります。
また、靭帯が弱る理由で多いのが、間違った靴選びと靴の履き方です。
足のサイズに合わない靴を履いていたり、ハイヒールなど足を守る機能の弱い靴を長年履いていると、徐々に靭帯が伸びてきてアーチが崩れて足の指が変形する原因になります。ですから、靴のサイズは一度、正確に測っておくことをおすすめします。また、オシャレ用の靴と健康のための靴を、TPOに合わせてこまめに使い分けることも、面倒臭がらずに行いましょう。
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土踏まずのアーチを理想の状態に矯正するインソール
靭帯をどれだけ大事にしても、やはり加齢で衰えてしまいます。ですから、一生懸命にアーチを支える筋肉のエクササイズをしても、残念ながら完全には変形を防ぎきれません。
そこで活用したいのはインソールです。
オーダーメイド矯正インソールは、お一人お一人の足の形に合わせて、技術者の目視と丁寧な手作業により石膏で足型を採ります。ですから、この足型から作られたインソールを靴の中に入れるだけで、足の28個の骨が理想の状態に矯正され、土踏まずの機能が回復します。
土踏まずのアーチが元に戻ると、足指を使いやすくなり、体のバランスが安定します。そうすると、骨に体重をうまく分散できるようになるので、筋肉の無駄な力が抜け、疲労や疲労の蓄積による痛みが和らぐことを期待できます。
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まとめ~足指をうまく使えていますか?~
足の指はとても小さいですが、全身の体重を支えるのにはとても大きな役割をしています。しかし、歩きやすくなった道で靴を履いて歩いている私たちは、足の指の使い方を忘れ、足の指が衰えがちです。足の指が衰えると体重をバランス良く支えられなくなるので、その負担が腰痛やひざ痛の原因になることがあります。
それなので足指の筋力をつけ、うまくコントロールできるようにすることが重要です。
また、土踏まずのアーチの歪みも足の指の衰えや変形と密接な関係があります。28個の骨が精密かつ繊細に組み合わさって、体重負荷を効率良く分散させているからです。それなので、靴は足に合ったものを履くようにしましょう。またオーダーメイド矯正インソールを使うと、履くだけで理想の土踏まずのアーチを保つことができます。
足は体の土台です。基礎が歪んでいると、建物の窓枠が歪むことと同じように、足の指が弱ったり、足のアーチが崩れると全身の歪みに連鎖します。足の指・アーチを守って、健康的な足を保ちましょう。
いかがでしたでしょうか?
私たちフットマスターは、足の指やアーチを守るために必要な靴の知識をお伝えし、オーダーメイド矯正インソールの製作を行っています。
足のことならお気軽に全国のフットマスターにご相談下さい。
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